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心理学の歴史はどのように変遷したものなのでしょうか?実はその歴史は古代ギリシャに始まります。この記事では心理学史を紹介した上で、学者名鑑を功績とともに年表にて紹介します。雑学としてぜひ参考にしてください。
心理学史をわかりやすくご紹介
心理学とはどのような歴史を歩んでいる学問なのでしょうか?まずは心理学の歴史を順を追って紹介します。
- 心理学の始まりは古代ギリシャ
- 心理学の成立に大きく貢献したヴント
- 構成主義心理学と機能主義心理学
- 現代心理学へ発展
心理学の始まりは古代ギリシャ
心理学の始まりは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスだといわれています。アリストテレスの「霊魂論」という書籍には、感覚・記憶・睡眠など、心理学の発展に通じることが多く書かれています。
そのため、霊魂論は最初の心理学書だと考えられているのです。
心理学の成立に大きく貢献したヴント
アリストテレス以降、さまざまな哲学者が人の心を論じましたが、現代心理学の父といわれているのはヴィルヘルム・ヴントです。
ヴントは意識に注目し、被験者に与えた刺激に対してどのように意識したかを調べ、心の構成要素を紐解こうとしました。
たとえば、「レモン」と聞くと、視覚的には「黄色い」「楕円形」などが、触覚的には「ブヨブヨしている」など、味覚的には「すっぱい」など、さまざまな構成要素で成り立っています。
ヴントの考え方は後に「構成主義心理学」と呼ばれ、現代心理学のベースとなりました。
構成主義心理学と機能主義心理学
構成主義心理学と同じ時代には、機能主義心理学も発展しました。機能主義心理学は、意識を心的要素の結合で構成された一つと考えるのではなく、一連の流れとして捉えたのです。
哲学者であるジョン・デューイや、哲学者・心理学者であるウィリアム・ジェームズらの哲学を背景として発展しました。
ヴントの考え方とは異なるアプローチで心を理解しようとした機能主義心理学も、心理学の発展に貢献しています。
現代心理学へ発展
構成主義心理学と機能主義心理学によって、心理学の基礎ができたあと、心理学の分野では批判や影響が繰り返されながら発展しました。
構成心理学に批判的な立場を取るゲシュタルト心理学や精神分析も、構成主義心理学への批判があったからこそ産まれ、発展しました。
また、1960年代以降は、情報処理のプロセスに焦点を当てた認知心理学も支持を集め、現代心理学の主流の一つに数えられています。
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心理学史年表・心理学者名鑑
心理学の歴史を、心理学者の名鑑として一覧にまとめます。活躍時期や功績など、ぜひ参考にしてください。
西暦 | 学者名 | 人物 | 国 | 備考 |
B.C.460?年~B.C.370?年 | ヒポクラテス | 医師 | ギリシャ(古代) | 科学に基づいた医学の基礎を作った |
B.C427?年~B.C.347?年 | プラトン | 哲学者 | ギリシャ(古代) | 魂は理性、意思、欲望の3で成り立つと考えた |
129?年~200?年 | ガレノス | 医学者 | ギリシャ(ローマ帝国時代) | 体液のバランスで気質が決まるという四気質説を唱えた |
1596年~1650年 | ルネ・デカルト | 哲学者 | フランス | 「我思う、故に我あり」という言葉で知られる |
1632年~1704年 | ジョン・ロック | 哲学者 | イギリス | イギリス経験論の父。全ての観念は経験で獲得されると唱えた |
1724年~1804年 | イマヌエル・カント | 哲学者 | ドイツ | 「コペルニクス的転回」という言葉で知られる。認識論を唱え、西洋哲学に大きく影響 |
1801年~1887年 | グスタフ・フェヒナー | 心理学者、物理学者 | ドイツ | 精神物理学の祖。科学としての心理学の基礎を作った |
1822年~1911年 | フランシス・ゴルトン | 人類遺伝学者、生物統計学者 | イギリス | 心理学に統計学を取り入れたひとり。双生児研究法を開発 |
1832年~1920年 | ヴィルヘルム・ヴント | 心理学者、生理学者 | ドイツ | 心理学を科学として成立させた、近代心理学の父 |
1842年~1910年 | ウィリアム・ジェームズ | 心理学者、哲学者 | アメリカ | アメリカ実験心理学の創始者 |
1849年~1936年 | イワン・パヴロフ | 生理学者 | ロシア | パヴロフの犬で有名。消化腺機能に関わる研究でノーベル生理学・医学賞受賞 |
1856年~1939年 | ジグムント・フロイト | 精神分析学者 | オーストリア | 精神分析学の創始者。フロイトの理論が臨床心理学の基礎となった |
1857年~1911年 | アルフレッド・ビネー | 心理学者 | フランス | 精神年齢という概念を提唱 |
1858年~1917年 | エミール・デュルケーム | 社会学者 | フランス | 自殺を4分類した自殺論で知られる |
1861年~1931年 | マクシミリアン・リンゲルマン | 農学者 | フランス | 綱引きをする人数増加にともない、個人の力量が低下する「リンゲルマン効果」を提唱 |
1863年~1945年 | チャールズ・E・スピアマン | 心理学者 | イギリス | 因子分析的研究の基礎を作った |
1870年~1937年 | アルフレッド・アドラー | 精神分析学者 | オーストリア | フロイト・ユングと並び称される巨匠。アドラー心理学を創始 |
1874年~1949年 | エドワード・L・ソーンダイク | 心理学者 | アメリカ | 猫を使った問題箱実験により効果の法則を提唱 |
1875年~1961年 | カール・ユング | 精神分析学者 | スイス | 分析心理学を創始。フロイトと共同研究をした時期あり |
1878年~1958年 | ジョン・B・ワトソン | 心理学者 | アメリカ | 行動心理学を創始 |
1880年~1943年 | マックス・ヴェルトハイマー | 心理学者 | ドイツ | ゲシュタルト心理学の創設者のひとり |
1882年~1963年 | エドゥアルト・シュプランガー | 心理学者、哲学者、教育学者 | ドイツ | 価値観の研究で知られる |
1884年~1922年 | ヘルマン・ロールシャッハ | 精神医学者 | スイス | ロールシャッハテストを開発 |
1886年~1951年 | エドガー・ルビン | 心理学者 | デンマーク | 有名な「ルビンの壺」という図形を考案 |
1886年~1959年 | エドワード・トールマン | 心理学者 | アメリカ | 目的的行動心理学を提唱 |
1886年~1969年 | フレデリック・C・バートレット | 心理学者 | イギリス | 記憶の社会的影響や減衰説・変容説の実験的研究が有名 |
1887年~1955年 | ルイス・L・サーストン | 心理学者 | アメリカ | 知能の多淫施設や、それを算出する多因子分析法を開発 |
1887年~1967年 | ヴォルフガング・ケーラー | 心理学者 | ドイツ(出身地はエストニア) | ゲシュタルト心理学創設者のひとり。類人猿は試行錯誤によらない洞察学習をすることを証明 |
1888年~1964年 | エルンスト・クレッチマー | 精神病理学者 | ドイツ | 体格と性格の関連性として性格類型論を提唱 |
1890年~1947年 | クルト・レヴィン | 心理学者 | アメリカ(出身地はドイツ) | 場の理論の提唱者。リーダーシップの実験が有名 |
1893年~1970年 | フレデリック・S・パールズ | 精神分析医 | ドイツ系ユダヤ人 | ゲシュタルト療法の創始者 |
1895年~1982年 | アンナ・フロイト | 精神分析学者 | イギリス(ウィーン出身) | 児童精神分析の開拓者。ジグムント・フロイトの娘 |
1896年~1980年 | ジャン・ピアジェ | 心理学者 | スイス | 認知発達心理論で知られる |
1897年~1967年 | ゴードン・W・オルポート | 心理学者 | アメリカ | 性格特性論の概念を提唱 |
1897年~1987年 | ジョイ・P・ギルフォード | 心理学者 | アメリカ | 知能の構造モデルや精神測定法の研究で知られる |
1898年~1977年 | ウィリアム・H・シェルドン | 心理学者 | アメリカ | 体格と性格に関する類型論的研究で知られる |
1901年~1973年 | グレゴリー・ラズラン | 心理学者 | アメリカ | ランチョンテクニックを開発 |
1902年~1987年 | カール・ロジャーズ | 心理学者 | アメリカ | 来談者中心療法を創始 |
1902年~1994年 | エリク・H・エリクソン | 精神分析学者 | アメリカ(ドイツ出身) | 青年期の自我同一性危機を提唱 |
1903年~1984年 | セオドア・ニューカム | 社会心理学者 | アメリカ | ベニントン・カレッジ調査やA-B-Xモデルで知られる |
1903年~1989年 | コンラート・ローレンツ | 動物学者 | オーストリア | 攻撃や刷り込みに関する研究で知られる。ノーベル生理学・医学賞を受賞 |
1904年~1990年 | B・F・スキナー | 心理学者 | アメリカ | オペラント条件づけの理論家で知られる |
1905年~1981年 | ハリー・F・ハーロウ | 心理学者 | アメリカ | スキンシップと愛情の研究で知られる |
1905年~1998年 | レイモンド・キャッテル | 心理学者 | アメリカ(イギリス出身) | 流動性知能と結晶性知能の発見や、16特性因子論で知られる |
1907年~2004年 | ソウル・ローゼンツヴァイク | 心理学者 | アメリカ | フラストレーションへの反応で性格分析するP-Fスタディを開発 |
1908年~1970年 | アブラハム・H・マズロー | 心理学者 | アメリカ | マズローの欲求5段階説は有名 |
1910年~1989年 | ジョージ・C・歩―マンズ | 社会学者 | アメリカ | 社会的交換理論を提唱 |
1910年~2003年 | ロバート・キング・マートン | 社会学者 | アメリカ | 社会学の理論的発展に貢献 |
1913年~2007年 | アルバート・エリス | 臨床心理学者 | アメリカ | ABC理論を開発 |
1914年~1979年 | コリン・チェリー | 認知心理学者 | イギリス | カクテルパーティ効果を提唱 |
1914年~2000年 | バートラム・フォア | 心理学者 | アメリカ | 占いが当たる「バーナム効果」で有名 |
1914年~2009年 | エドワード・T・ホール | 文化人類学者 | アメリカ | パーソナルスペースの研究で有名 |
1915年~1997年 | ジョセフ・ウォルピ | 精神科医 | 南アフリカ出身 | 系統的脱感作法という行動療法で知られる |
1916年~1997年 | ハンス・J・アイゼンク | 性格心理学者 | イギリス(ドイツ出身) | 性格検査MPIを開発 |
1919年~1982年 | ヘンリ・タジフェル | 社会心理学者 | ポーランド出身 | 社会的アイデンティティの概念を提唱 |
1919年~1989年 | レオン・フェスティンガー | 社会心理学者 | アメリカ | 認知的不協和理論を提唱 |
1920年~2010年 | バーナード・スティンザー | 社会心理学者 | アメリカ | スティンザーの3原則で知られる |
1920年~2012年 | ジョージ・アーミテージ・ミラー | 認知心理学者 | アメリカ | マジカルナンバー7が有名 |
1922年~1982年 | アーヴィング・ゴッフマン | 社会学者 | アメリカ(カナダ出身) | ドラマツルギーの手法を提唱 |
1922年~2017年 | フレッド・E・フィードラー | 心理学者 | アメリカ(オーストリア出身) | リーダシップ状況対応理論を提唱 |
1923年~2008年 | ロバート・B・ザイアンス | 社会心理学者 | アメリカ(ポーランド出身) | 単純接触効果の研究で有名 |
1924年~1999年 | デヴィッド・キプニス | 社会心理学者 | アメリカ | 人と権限に関わる研究で有名 |
1925年~2014年 | セルジュ・モスコヴィッシ | 社会神学者 | フランス(ルーマニア出身) | 集団におこえるマイノリティ・インフルエンス実験で有名 |
1926年~1993年 | ドナルド・ブロードベント | 認知心理学者 | イギリス | 知覚の選択的注意の研究で有名 |
1926年~1993年 | エドワード・E・ジョーンズ | 社会心理学者 | アメリカ | 他人への戦略的自己呈示の研究で有名 |
1928年~2009年 | ジャック・W・ブレーム | 社会心理学者 | アメリカ | 心理的リアクタンスの研究で有名 |
1933年~1984年 | スタンレー・ミルグラム | 社会心理学者 | アメリカ | ミルグラム実験で有名 |
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まとめ
心理学の歴史は古代ギリシャから始まり、多くの哲学者が人の心を論じました。その後、さまざまな実験を経て科学へと発展し、エビデンスによって人の心を解明するものとなっています。心理学の発展に貢献した学者とともに、その変遷を知っておいてください。
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