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組織で新たにリーダーとなった人や、上手にリーダーシップがとれないと悩んでいる人は、どのような事を知れば良いのでしょうか?
この記事では、上手にリーダーシップがとれるようになるための基礎知識として、組織心理学を交えて解説します。ぜひお読みいただき、素敵なリーダーになってくださいね。
リーダーシップは仕事で必須!リーダーシップ論の基礎
リーダーはリーダーシップ論を知っておいた方が良いでしょう。とはいえ、リーダーシップ論を学ぼうと思うと、それなりの時間と労力がかかります。そこで、ここではリーダーシップ論のエッセンスだけを抜き出したいと思います。
リーダーが知るべき内容として「特性理論」「行動理論」「条件適合型理論」「コンセプト理論」などがあります。
言葉は何となく難しそうですが、意味を知ると難しい内容ではありません。言葉は覚えなくて構いませんので、中身を学びましょう。リーダーシップ研究の変遷順に紹介しますね。
最初に知りたい「特性理論」
リーダーになったら、まず特性理論を知っておきましょう。特性理論は、リーダーの人物を特性からアプローチした理論です。
簡単にいうと、リーダーと、リーダーじゃない人との違いに着目し、理想のリーダー像を導きます。では、リーダーと、リーダーじゃない人の違いって何だか分かりますか?ちょっと考えてみましょう。
《リーダーとリーダーじゃない人の特性の違い》
・動機とモチベーション(意欲)
・ほかの人を導いて影響を与える欲求
・自信
・誠実さや正直さ
・知性
・責任分野の専門知識
でも、特性理論ではリーダーの特性だけに着目した理論で、リーダーの特性だけではリーダーシップの説明としては不十分です。
結果的に、特性理論は後述の行動理論などへと進展いきます。とはいえ、リーダーであれば、まずは特性理論を参考に、リーダーじゃない人との違いを意識してください。
次に学びたい「行動理論」
行動理論とは、名前の通りリーダーの行動に着目した理論で、代表的な内容として「PM理論」が有名です。
PM理論というのは、リーダーシップを、P機能(目的達成)とM機能(集団維持)から捉えた理論です。
アルファベットが出てくると複雑に思えるでしょうから、P機能とM機能が何なのか、まずは表でご確認ください。
P機能(目標達成) | 目標の設定、計画の立案、メンバーへの叱咤や指示などで目標達成する能力のこと |
M機能(集団維持) | メンバーの人間関係に配慮して、良好なチームワークでまとまりを維持する能力 |
P機能かM機能かどちらが強いか弱いかで、4つの分類がなされます。以下アルファベットの大文字は強いことを表し、小文字は弱いことを表しています。
PM型 | 明確な目標を示して成果をあげながらも、チームをまとめる力もある |
Pm型 | 明確な目標を示して成果をあげるが、人望がない |
pM型 | 人望はあるが仕事ができない |
pm型 | 成果をあげる能力も、チームをまとめる力も弱い |
あなたの場合はいかがでしたか?PM理論ではPM型が理想系となります。
条件適合型理論
条件適合型理論というのは、環境やチームメンバーの状況に着目したもので、代表的な理論として「条件即応モデル」とか「SL理論」があります。
条件即応モデル
条件即応モデルとは、リーダーにとって苦手な仕事仲間を、どのように捉えるかでリーダーシップを分類するモデルです。
苦手な仕事仲間のことをLPCといい、苦手な仕事仲間を肯定的に捉えるリーダーを「高LPCリーダー」、否定的に捉えるリーダーを「低LPCリーダー」と分類します。
高LPCリーダーは「関係志向型」、低いLPCリーダーは「課題志向型」のリーダーと分類し、それぞれ状況によってどちらのリーダーが良いのかが変わります。
たとえば、チームメンバーの状況が統制しやすい場合と、統制しにくい場合は、「課題志向型」のリーダーシップが良いとされています。
統制しやすくもなく、しにくくもない中間的な場合には、「関係志向型」のリーダーシップが良いとされています。
課題志向と関係志向は読んで字のごとし、課題に向き合うのか、人間関係に向き合うのかですね。
SL理論
SL理論とは、チームメンバーの成熟度を重視した理論のことで、チームメンバーの成熟度が高い場合には「関係動機型」が良く、成熟度が低い場合は「課題志向型」が良いとされています。
また、成熟度は低い方からS1、S2、S3、S4と順に上がっていき、それぞれに応じて最適なリーダーシップがあります。
S1 | 教示的リーダーシップ | こと細かく指示をして監督する |
S2 | 説得的リーダーシップ | 考えを説明して疑問に答える |
S3 | 参加的リーダーシップ | 考えが合致できるように仕向ける |
S4 | 委任的リーダーシップ | 仕事を任せる |
コンセプト理論
コンセプト理論とは、課題によってリーダーシップのスタイルを変える理論のことで、5つの「型」があります。分かりやすさ追求のために、詳細は省き、簡単に解説いたします。
カリスマ型リーダーシップ | 行動力と自由な発想で、チームメンバーを引っ張って行くリーダーシップ |
変革型リーダーシップ | 方針の抜本的な見直しによって、改革を進めるリーダーシップ |
EQ型リーダーシップ | 職場環境の改善や、チームメンバーのモチベーションに配慮した、人間関係重視のリーダーシップ |
ファシリテーション型リーダーシップ | チームメンバーが主体的に仕事ができるように促すリーダーシップ。チームメンバーと同じ目線でリードする |
サーバント型リーダーシップ | リーダーチームメンバーの裏方にまわるなど、チームの業務をサポートするリーダーシップ |
リーダーシップの種類やスタイル
リーダーシップのスタイルを分類した研究があります。リーダーシップのスタイルを「民主型」「専制型」「放任型」に分類した研究で、それぞれの影響が検証されました。
民主型リーダーシップ | メンバーは友好的で、モチベーションが高かった |
専制型リーダーシップ | 攻撃的な雰囲気で、リーダー不在時には怠慢になった |
放任型リーダーシップ | メンバーの緊張感が低く、モチベーションや効率も低かった |
リーダーシップの学び方
リーダーシップに必要なことは、ここまで紹介したしーだーシップ論を取っ掛かりとして、掘り下げて学ぶことが大切です。
この記事では、取り急ぎリーダーシップについて知りたい人や、リーダー初心者のためにエッセンスを抜き出して、リーダーシップ論を紹介しましたが、現場で役立てるために実践的な学びがを心がけましょう。
まずは自分のリーダータイプを知る
まずは先述のリーダーシップ論を参考に、自分のリーダータイプを知りましょう。性格面も影響しますので、自分のタイプを知ることは重要です。
自分のリーダータイプが分からなければ、この先どのようなリーダーを目指すべきなのか見えて来ませんので、己を知る必要があるのです。
理想のリーダー像に合わせる
次に、理想像を作り、理想のリーダー像に自分を当てはめ、行動すると良いでしょう。
理想のリーダー像は、上記を参考にした上で、実際にあなたが尊敬するリーダーの真似をするのです。
あなたの身近に理想のリーダーはいませんでしょうか?いない場合は、複数のリーダーの長所を合わせた架空の人を想像で作っても良いです。
そして、リーダーとしての理想像に成りきりましょう。
心理学では、このような方法をモデリングといいます(厳密にはNLPですが)。理想の人や状態の真似をすることで、自分自身が理想像に近づきます。
もちろん、途中で違和感を感じたら、理想のリーダー像をバージョンアップさせれば良いため、トライアンドエラーで実践してみましょう。
組織心理学を学ぶ
心理学には基礎心理学と応用心理学があり、組織心理学は応用心理学の1つです。 1970年に、アメリカの心理学会で、産業における解決策に対して心理学を応用する「産業心理学」から、「組織」の枠組みで人間行動に着目して設立されました。
リーダーシップを学ぶ上でも非常に役立ちますので、ぜひ学んでおきましょう。
リーダーシップ論の本を読む
リーダーシップを学びたいのであれば、書籍で学ぶことが手軽です。本は数千円程度と少ない費用でできる投資です。
勉強が苦手という人もいるかも知れませんが、リーダーのたしなみとしてしっかり学びましょう。
リーダシップの心理学のひと言アドバイス
リーダーになった人の中には、自分の経験原則だけでチームメンバーをリードしてしまう人がいらっしゃいます。
しかし、経験は人それぞれ違いますし、客観性が低いです。これまでの経験は偶然上手くいっていただけかも知れませんし、一定の条件の場合だけで成果が出ていたのかも知れません。
客観性が高いリーダーシップが取れるように、しっかりと理論を学びましょう。
リーダシップの心理学に関するお悩み相談室
リーダーシップの心理学についてのQ&Aを紹介します。参考にしてください。
《ヤフー知恵袋より引用》
リーダーシップをとるのが苦痛です。
人に指示するよりも、自分で全部やれたら良いのにと思います。体が六つぐらい欲しい。
Q:自分は性格上、リーダーに向いてないと思いますが、どうすれば良いですか?
A:リーダーは性格などの資質だけでなく、仕事上のテクニカルな部分もチームに影響するため、まずはリーダーの手法を学びましょう。そのうち資質がついてくることも大いにあります。
Q:リーダーシップをとるのが苦痛ですが、対策はありますか?
A:人はうまくいかないことに苦痛を感じますので、上手にリーダーシップがとれるようになれば、苦痛は緩和できるはずです。遠回りかも知れませんが、場当たり的な対策ではなく、リーダーシップをしっかり学ぶことが大切です。
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まとめ
リーダー初心者は、自分で大丈夫なのか不安になるかも知れませんが、しっかりと勉強すれば良いリーダーになれます。チームと一緒に最大の効果を得るために、学びはリーダーのたしなみだと考えましょう。
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