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発達心理学は、心と身体の成長過程を変化を研究する学問です。人は成長しながら心と身体を変化させますので、そのプロセスに着目した心理学です。この記事では発達心理学について分かりやすくまとめます。ぜひ参考にしてください。
発達心理学とは何か?わかりやすく紹介
発達心理学は、心と体の成長に着目した心理学です。人は生まれてからどんどん体も心も成長し、やがて老齢により死を迎えます。
成長プロセスでは常に変化が伴い、そのプロセスを心理学の理論をベースに研究が進められています。
発達心理学のキホン
発達と聞くと、子どもの成長を思い浮かべるかも知れませんが、発達心理学の分野は子どもだけではありません。
子どもが大人になり、そして老齢で死を迎えるまで、人生全体における心理学です。そのため、育児中の親だけでなく、どのような人にも役立つ心理学でもあります。
発達心理学では、身体能力のほか、感情面や対人関係、社会性との関わり合いや自分への認知など、さまざまな要素の発達に着目します。
発達心理学は何に役立つか
発達心理学を学ぶことによって、人の心の成長が学べます。人の心の成長を学ぶことによって、人の行動や抱える問題を客観視できるようになります。
たとえば、子どもに感情的になってしまうケースでは、子どもの行動の背景を知ることで対処法が見つかりやすくなります。
また、自分の発達段階を知ることで、心の悩みや課題が浮き彫りになりやすく、問題解決や課題を乗り越える力にもなります。
発達心理学の資格
発達心理学の資格としては、臨床発達心理士が知られています。臨床発達心理士の資格申し込みは、以下条件のいずれかをクリアしていなければなりません。
《申請条件》
・発達心理学隣接諸科学の大学院修士課程在学中または修了後3年未満
・臨床経験が3年以上ある
・大学や研究機関で研究職をしている
・公認心理師資格を取得している
それぞれの条件によって、申請できる資格タイプが異なりますので、詳しくは一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構のサイトをご確認下さい。
発達心理学が活かせる仕事
発達心理学が活かせる仕事には、臨床発達心理士の仕事のほか、保育園や幼稚園、保健所、特殊学校、養護学校など、子どもに関わる仕事場があります。
また、障害者施設や老人ホームなど、大人と関わる仕事場もあります。しっかりと学べば一生ものの知識やノウハウが得られるでしょう。
ピアジェの発達段階
人間には発達段階があり、心理学者ジャン・ピアジェ(1896~1980)は4つ、心理学者エリク・H・エリクソン(1902~1994)は8つの発達段階を提唱しました。まずピアジェが提唱した4つの発達段階から見て行きましょう。
1.感覚運動期(0~2歳)
ピアジェは0歳から2歳までを「感覚運動期」としました。さまざまなものを触り、感覚と運動から認知を広げていく段階です。たとえば赤ちゃんは目の前が世界の全てです。そのため、母親がほんの少し別の部屋に行っただけでも大泣きします。
しかし、感覚運動器に認知を高めることによって、別のところにいると理解できるようになります。この時期に何かを思い浮かべる表象能力も備わるとしています。
2.前操作期(2~7歳)
前操作期は幼稚園や保育園児の時期です。この段階では自分の視点からしか物事を捉えられないため、たとえば自分にとって右側は正面の人の左側というようなことも理解できません。このような「自己中心性」から抜け出ていない時期です。
また、同じ量のジュースであっても、細いコップと太いコップで見た目の高さが変わりますが、この時期は細いコップに入っているジュースの量が多いと判断します。保存性が未発達な時期でもあります。
さらに、人形など生き物ではないものを生き物だと捉えるのもこの時期の特徴です。 ごっこ遊びなどが始まるのもこの時期です。
3.具体的操作期(7~12歳)
具体的操作期は小学生頃の段階です。この時期には保存性が備わってくるほか、論理的思考力も身に付いてきます。自己中心性から抜け出し、相手目線での思考も備わってきます。また、現実とそうでないものが分かるようになる時期でもあります。
4.形式的操作期(12歳~成人)
形式的操作期は、中学から成人までの時期です。この段階までになると、抽象的な思考、推測や仮定など、高度な思考ができるようになります。内容や時間の流れにとらわれず思考が可能であるため、経験していないことでも思考できます。
エリクソンの発達段階
エリクソンが提唱した心理社会的発達理論では、人間の発達段階を8つに分け、各段階に心理社会的危機があるとしています。それを乗り越えることで力を獲得するのです。では、エリクソンの発達段階を見て行きましょう。
1.乳児期(0歳~1歳半)
0歳~1歳半ごろまでを乳児期といいます。この時期は親を中心に世話をされながら世界に対しての信頼感を育みます。泣くことで主に母親に助けを求め、適切に対応されることで「助けてくれる」と信頼していくのです。
心理社会的危機は信頼感対不信感です。泣いても世話をしてもらえなければ、世界に対する不信感を抱きます。この乳児期に適切な対応をしないと、その後の人生に悪い影響を与えてしまうのです。
2.幼児前期(1歳半~3歳)
1歳半~3歳ごろは幼児前期と言われています。この時期は俗にいうイヤイヤ期で、何でも「イヤ」と拒否する時期ですが、一方で、自分で何でもやってみようとする好奇心旺盛な時期でもあります。
親が適切にチャレンジさせたり、自分でできるよう上手にサポートすれば、子どもは意欲を獲得します。
この時期の心理社会的危機は自主性対羞恥心です。子どもがチャレンジしようとしているのに、親が先回りしてやってしまったり、何でも親が対処してしまうと、子どもが意欲や自信を育む機会を奪うことになります。
3.遊戯期(3~5歳)
3~5歳ごろは、遊戯期といいます。保育園や幼稚園に通う時期で、世界に対する興味が旺盛な時期でもあります。好奇心から「なぜ?」という質問を繰り返すのもこの時期です。
心理社会的危機は自発性対罪悪感です。厳しいしつけをし過ぎると、子どもは罪悪感を持ってしまいます。しかし、適度なしつけができれば、心理社会的危機を乗り越え、目的意識を付けることができます。
4.学童期(5~12歳)
5~12歳ごろが学童期といわれ、小学校に通う年齢が該当します。学校からの宿題などを計画的に提出する繰り返しで自信が付き、自分に能力があることを理解する時期です。
心理社会的危機は勤勉さ対劣等感です。勉強が遅れてしまう子どもも出てきます。このような子どもに対して叱咤するだけでは劣等感を抱いてしまいますので、適度に褒めながら伸ばしていく必要があります。
5.青年期(12~18歳)
12~18歳ごろは青年期で、いわいる思春期がこの時期です。アイデンティティー確立の時期であり、うまく確立されれば忠誠という力が得られます。これは自分の価値観を信じて行動しようとする力です。
心理社会的危機はアイデンティティー対アイデンティティーの混乱で、アイデンティティーの確立ができなければ、生きる意味や居場所を見つけられずに悩むこととなります。
6.初期成人期(18~40歳)
18~40歳ごろは初期成人期です。家族や恋人、友人などの関係性の中から愛情を育みます。心理社会的危機は親密対孤立で、人間関係を怠った結果、孤独となるでしょう。人間関係は人間心理に大きな影響を及ぼしますので、円滑な人間関係と幸福は相関します。
7.壮年期(40~65歳)
40~65歳ごろは壮年期です。この時期には、次世代に貢献することに生きがいを感じやすい時期で、「世話」という力を得ます。心理社会的危機は次世代育成能力対停滞で、自己中心的に生きている人は停滞と呼ばれます。
8.老年期(65歳以上)
65歳以上は老年期です。老年期には老後を模索したり、満足な人生だったかの振り返りをします。納得できた場合は「賢さ」という力が得られます。
心理社会的危機は自己統合対絶望です。後悔が多い人生だった場合や人生をやり直したい場合には、絶望を感じることになるでしょう。
発達心理学のオススメ本
発達心理学を学ぶにあたってオススメの本をカンタンに紹介します。ぜひ参考にしてください。
生涯発達心理学
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これから発達心理学を学びたい人だけでなく、もう一度おさらいしたい人にもおすすめの書籍です。
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史上最強図解よくわかる発達心理学
史上最強図解よくわかる発達心理学は、そのタイトルのとおり図版や写真などをふんだんに使って、視覚的に分かりやすい書籍となっています。こちらも初心者からおさらいをしたい人までおすすめです。
発達障害や摂食障害、虐待なども含め、具体的事例も掲載されていますので、イメージしながら読みやすいです。
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【カテゴリー】同じカテゴリーの記事をお読みになりたい場合は、基礎心理学の種類をご覧ください。
まとめ
発達心理学は、心と身体の成長過程を変化を研究する学問で、学ぶことでさまざまな仕事に役立つほか、育児中の親を含め、さまざまな人に役立ちます。
ピアジェやエリクソンの発達段階は有名ですので把握しておきましょう。各種書籍でも詳しく解説されていますので、参考にすると良いかと思います。
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