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心理学のストロークをご存知でしょうか?ストロークとはカウンセリング手法の交流分析に出てくるもので、他人の存在を認めた言動のことを指します。この記事ではコミュニケーションに役立つストロークを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
心理学のストロークとは?交流分析を学ぼう
ストロークとは他人の存在を認めたことを表す言動なのですが、カウンセリング手法の「交流分析」に出てきます。そのため、ストロークの説明をするには交流分析の説明が必要となります。交流分析について以下内容を見ていきましょう。
- ストローク理解のため交流分析をざっくり説明
- 交流分析には7つの要素がある
- 交流分析の考えでは5つの自我状態がある
- 交流分析の考えでは4つの人生態度がある
ストローク理解のため交流分析をざっくり説明
交流分析とは心理療法の1つです。交流分析の考え方としては、人の悩みの大半は人間関係であり、人との関係がうまく行けば悩みの大半が解決するとしています。そこで、人と人とが関わる際の自我状態として、P、A、Cに注目しています。
【自我状態】 | |
P(Parent) | 「親」の影響を強く受け継いだ思考や感情や行動。 |
A(Adult) | 今ここで起こっている状態に直接反応している「成人」の思考や感情や行動。 |
C(Child) | 「子ども」の頃と同じような思考や感情や行動。 |
この自我状態は後程説明するストロークの基礎知識となるので、知っておきましょう。
交流分析には7つの要素がある
交流分析は7つの要素から成り立つ心理療法です。その7つの要素を使ってカウンセリングを行います。交流分析の7つの要素とは以下のとおりです。
【交流分析の7つの要素】 | |
1、自我状態 | 上記のP、A、C。 |
2、対話分析 | 相手にもP、A、Cがあって、適切なやり取りを理解する。 |
3、ストローク | 相手の存在を認める全ての言動(後ほど詳しく解説)。 |
4、人生態度 | どのような態度で人生を歩むべきか、相互理解を目指す。 |
5、時間の構造化 | 生きがいのある自分の時間の使い方を探求。 |
6、ゲーム分析 | 気づかないうちにやってしまう人間関係のトラブル。 |
7、人生脚本 | 自分の人生のシナリオをさかのぼって、本来あるべき姿を取り戻す。 |
ちょっと複雑かも知れませんが、要するに他者関係を構築する上で、この7つの概論で成り立つ心理療法が「交流分析」ということです。
交流分析の考えでは5つの自我状態がある
何か出来事があった時、同じ出来事でも人によってとらえ方や行動が異なります。つまり、我々の自我状態は出来事や相手によって使い分けられているのです。
交流分析では、先述のとおりP、A、Cの自我状態があるのですが、より細かく分析するために、CとPをさらに2つに分類し、CP、NP、A、FC、ACの合計5つに分類しています。それぞれプラス面とマイナス面の特徴が有ります。
CP | 厳しい私(批判的な親) | 信念や理想を持ち、主張する強さがあるが、人に自分の価値観を押し付けたり命令的で人を支配したがる傾向がある。 |
NP | 優しい私(援助的な親) | 思いやりがあって親切で親身に面倒見るが、過保護やおせっかいな所もある。 |
A | 考える私(理性的な大人) | 現実的で合理的。冷静で論理的だが、損得に敏感で打算的。 |
FC | 自由な私(自由な子ども) | 自由で欲求に素直で人間味に溢れているが、わがままなところがあり、幼稚な印象を人にあたえてしまう。 |
AC | 合わせる私(順応な子ども) | 協調性に富んでいて集団を大切にするが、自分を抑えているおで対人関係にストレスを感じやすい。他人の評価も気になる。 |
これらの状態が環境や出来事、人との関わりの中で無意識に使い分けられています。
交流分析の考えでは4つの人生態度がある
上記で紹介した7つの要素の4番目に「人生態度」を紹介しましたが、この人生態度にも種類があります。人生態度とはどのような態度で人生を歩むべきか、相互理解を目指し、「自己肯定・他社肯定」「自己肯定・他社否定」「自己否定・他社肯定」「自己否定・他社否定」の4種類があります。
【人生態度】 | |
1、自己肯定・他社肯定 | 自分も相手も大切にして、お互い受容して楽しんだり喜ぶことができます。 |
2、自己肯定・他社否定 | 私の方が他者より勝っていると感じているので、苦労を押し付けられたり、犠牲になっていると捉えてしまいます。 |
3、自己否定・他社肯定 | 自分は他社より劣っていると感じているので、心配や後悔が多いです。 |
4、自己否定・他社否定 | 他社に対して常に疎外感を感じていて、無気力や絶望感、恐怖が強いです。 |
これらの人生態度は3歳から7歳の頃にできます。
心理学のストロークを詳しく解説
ここまで交流分析について紹介しましたが、それを前提としてストロークについて以下内容を解説いたします。
- ストロークは相手の存在を認めるやり取り
- プラスのストロークとマイナスのストロークがある
- ストローク不足は悪循環を生む
ストロークは相手の存在を認めるやり取り
ストロークとは他人との言動の事です。カンタンに言うと「私はあなたの存在を認めてます」というメッセージのやり取りで、言語表現だけでなく、身体表現や非言語表現もあります。
プラスのストロークとマイナスのストロークがある
ストロークにはプラスのストロークとマイナスのストロークがあります。以下の表をご覧いただくと一目瞭然だと思いますので、参考にしてください。
プラスストローク | マイナスストローク | |
言語表現 | 褒める、慰めるなど | けなす、悪口を言う |
身体表現 | 手をつなぐ、ハグをするなど | 殴る、ぶつかる |
非言語表現 | 笑顔を見せる、うなずくなど | 睨む、見下す |
相手からプラスストロークをもらうと気分良くなり、マイナスストロークをもらうと傷つきやすくなります。
ストローク不足は悪循環を生む
ストロークはプラスストロークを欲し、マイナスストロークは敬遠したいものですが、ストローク不足になるとマイナスストロークでも欲しくなり、悪循環となってしまいます。これをストロークの法則と言います。
逆に、豊かな交流のためには、「与える」「我慢しない」「謙遜しない」「はっきり断る」などが大切です。
ストローク交換を考える対話分析も重要
ストローク交換を考える対話分析について紹介します。ストロークで重要なのは、同じ自我状態のストロークを行う事です。これを相補的交流といいます。
一方、違う自我状態でのストロークの場合は行き違いが起きやすくなります。これを交叉的交流と言います。最も厄介なのが、本心を出さずやり取りするストロークです。これを裏面的交流といいます。
スムーズな相補的交流
相補的交流は相手と同じ自我状態でのストロークで、スムーズな交流です。たとえば以下のようなストロークです。
Cの自我「ランチは中華料理を食べたいな」
Cの自我「いいね。私は麻婆豆腐にする」
このようにスムーズな会話を楽しむことができます。
ちぐはぐな交叉的交流
交叉的交流は異なる自我状態の、ちぐはぐな交流です。具体的には以下のようなストロークです。
Cの自我「ランチは料理を食べたいな」
Pの自我「昼間から脂っこいから控えたようがいいよ」
違う自我状態でのストロークは行き違いやちぐはぐさが生じてしまいます。
本音が隠れた裏面的交流
やっかいなのが裏面的交流です。言葉に出さない部分に本音が隠れているストロークが裏面的交流です。
Aの自我「ランチは料理を食べたいな」
Aの自我「そうだね。(本当は和食がいい)」
裏面的交流はAの自我同士のストロークでよく見られます。
【カテゴリー】同じカテゴリーの記事をお読みになりたい場合は、心理学を資格で学ぶをご覧ください。
まとめ
ストロークは「私はあなたの存在を認めてます」というメッセージのやり取りです。同じ自我状態のストロークは良いのですが、異なる自我状態の場合はちぐはぐとなります。ストロークは心理療法の1つ「交流分析」を学び、ぜひ日常生活にも役立ててください。
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