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心理学の実験と聞くとどういうものをイメージしますでしょうか?最近では統計的な研究がベースとなるのですが、過去には面白い実験がたくさんありました。この記事ではビックリするような心理学の実験を紹介しますので、雑学としてお読みください。
心理学の面白い実験をご紹介
心理学の面白い実験は数多くありますが、ここでは特に個性的な以下実験をピックアップして初会します。
- 人間の面白い現象!思い込みで病気が治る
- メイクで自信がみなぎる!
- シロクマのことは考えないで!
人間の面白い現象!思い込みで病気が治る
人間の面白い現象として、思い込みで病気が治るというものがあります。薬と思い込んで服用したものが、実は砂糖だったとしても、薬を服用した時の効果が表れるのです。このことをプラセボ効果といいます。
薬の開発では本当に薬による効果なのか、単なるプラセボ効果なのかを検証するために、効果のない偽薬を使って検証するのです。
薬の飲み過ぎや飲みたがりに対処すべく、介護用に「プラセプラス」という偽薬が売っているので、良かったら検索してみてください。
さて、プラセボ効果とは逆に、ノセボ効果というものがあります。有害だという思い込みによって身体に害をなすのがノセボ効果です。
1883年にオランダである実験が行われました。政治犯の死刑囚に対し、「人は3分の1以上血液を抜くと死ぬと言われているが、それを実証する実験をする」と告げ、目隠しをしました。
医師たちは本人に聞こえるように「3分の1以上で間違いなく死ぬ」と結論付け、実際に血液は抜かず、血液を抜いているフリをしました。
そして、医師から3分の1を超えたと告げられた時に、死刑囚は本当に死んでしまったのです。思い込みは人に大きな影響を与えるのです。
メイクで自信がみなぎる!
メイクは行動に影響します。メイクにかんして、こんな面白い実験がなされています。すっぴんの女子学生インタビューアーと、プロがメイクを施した女子学生インタビュアーによる行動には違いが生じました。
メイクした女子学生のほうが、積極的に通行人へアタックし、自信にあふれたインタビューをしたのです。
つまり、外見に気を使うことで積極性や自信につながります。自分に自信がない人は、オシャレをしたり、高級アイテムを身に付けると良いでしょう。
シロクマのことは考えないで!
1987年にアメリカの心理学者ダニエル・ウェグナーが行った実験で、シロクマ実験という面白いものがあります。ダニエル・ウェグナーは、シロクマの映像を見せた3つのグループに以下のように伝えました。
- Aグループの参加者に「シロクマのことを覚えておくよう」伝える
- Bグループの参加者に「シロクマのことを考えても考えなくても良い」と伝える
- Cグループの参加者に「シロクマのことだけは絶対に考えないでください」と伝える
さて、1年後に最もシロクマのことを覚えていたのはどのグループだったと思いますか?答えはCグループでした。
考えるなと言われるほど考えてしまうこの理論を「皮肉過程理論」と呼びます。考えるなと言われた人ほど記憶に残るという、確かに皮肉な現象ですね。
再現禁止!今となっては恐ろしい心理学の実験
面白いとは言いにくいほど、恐ろしい心理学の実験もなされてきました。今の時代ではNGの心理学実験の中から、インパクトの強い以下実験を紹介します。
- スタンフォード監獄実験
- リトル・アルバート実験
- ミルグラム実験
スタンフォード監獄実験
1971年に、スタンフォード大学で行われた実験に「監獄実験」というのがあります。学生を監守役と囚人役に分けて、監獄のような場所で暮らすという実験が監獄実験です。
その結果、看守役は高圧的になり、囚人役はそれを受け入れるようになりました。どんどんエスカレートした結果、実験は中止に追い込まれたのです。
最近ではデモンストレーションだったと言われており、ほかの心理学者による再現性もありません。そのことも含め、有名な実験となっています。
リトル・アルバート実験
心理学の実験で有名なのが「パブロフの犬」です。ソビエト連邦の生理学者だったイワン・パブロフが、反射行動を見出した実験がパブロフの犬です。
エサを与えると唾液を出す犬が、そのうちエサを運ぶ足音を聞いただけでも唾液を出すようになり、訓練や経験によって後天的に獲得される反射行動を見出したのです。
そして、パブロフの犬の実験をジョンズ・ホプキンス大学のジョン・B・ワトソンらが人間で行おうとしました。
その方法は、9カ月の赤ちゃんが白いネズミに触れる毎に、泣くまでハンマーで騒音を立てました。すると赤ちゃんは反射行動を見せるようになりました。
この実験は評価されたものの、倫理的観点から批判も浴びました。結果的に被験者サンプル数が1人となり、実験結果の有意性を見出せませんでした。
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ミルグラム実験
ミリグラム実験とは、イェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムによる実験です。閉鎖的状況で権威者の指示に従う人間心理を実験したもので、世界的にも有名です。
ユダヤ人を収容所に送り込む責任者だったアドルフ・アイヒマンは、アルゼンチンで偽名を使い、工場で静かに生活していました。
真面目に励む平凡な彼の姿から、ナチスの戦犯ははたして異常な人物だったのか疑問が持たれたのです。
ニセモノの電気ショック発生器で実験
ニセモノの電気ショック発生器を使い、80名の被験者が体罰と学習効果の測定のために参加しました。
具体的には、別の部屋にいる学生の回答が間違うたびに、他の学生に電気ショックが与えられるという実験です。
ただし、本当に電気ショックを与えているわけではないため、学生は苦しんでいるフリをします。
学生が苦しむ声が大きくなっても、実験者が「大丈夫」と言えば、電気ショック担当の学生は電気ショックを強くし続けたのです。
結果的に65%の学生が、本当に電気が流れていれば死んでしまうレベルまで電気ショックを与えました。この結果から、平凡な人が一定の条件下では、非人道的な行為を行うと証明したのです。
ただし、先述のスタンフォード監獄実験のように、役割が暴力行為にエスカレートする可能性もあるため、実験結果の意義づけが難しいという見方もあります。ちなみに、この実験は「アイヒマン実験」とも言います。
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まとめ
心理学の実験には面白いものが多いです。中には今では禁断となっているセンセーショナルなものまで存在します。これらの実験の上で今の心理学が成り立っている部分もありますので、ぜひ豆知識として押さえておいてください。