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禁止されたことほどしたくなったという経験は、誰しもお有りかと思います。このことを心理学ではカリギュラ効果と呼びます。
この記事ではカリギュラ効果の意味合いを踏まえ、ビジネスシーンや日常生活での活用例を紹介します。
カリギュラ効果の意味とは?
カリギュラ効果とは、禁止されたことほどしてしまいたくなる心理現象です。人は、見るなと言われると余計に見たくなったり、するなと言われたことほどしてしまいたくなるのです。
カリギュラ効果は俗称であり、学術的には心理的リアクタンスと呼ばれています。


カリギュラ効果の背景
カリギュラ効果の背景は1980年まで遡ります。アメリカとイタリアが共同で作った「カリギュラ」という映画にその起源があります。
映画のモデルであるローマ帝国皇帝「カリグラ」が由来です。
映画カリグラは残虐シーンや性的シーンなど、内容が激しかったので、一部地域で公開禁止となりました。しかしながら、禁止したことでかえって話題となりました。
禁止となったボストン以外に見に行く人が増え、結局ボストンでも解禁することになったのです。
昔話などでもお馴染み
カリギュラ効果は、昔話などの身近なところにも登場します。たとえば、覗かないでくださいと言われたのに覗いてしまった鶴の恩返しや、開けないでと言われたのに開けてしまった浦島太郎などが有名な例です。
いずれもダメと言われたことをしてしまう、人間の性が垣間見えます。
ビジネスシーンでの活用例
カリギュラ効果はビジネスシーンで活用すると集客アップや売上アップにつながります。そのため、実は頻繁にビジネス利用されています。
さまざまな活用例がありますが、ここではびビジネスシーンでの典型例を紹介します。


広告手法として活用
カリギュラ効果は広告手法として、キャッチコピーやキャッチフレーズなど、宣伝によく使われています。具体例は以下のとおりです。
- お友達に言わないでください (本当は口コミを作りたい)
- 心臓の弱い人は見ないでください(本当は見て欲しい)
- 安易な気持ちでクリックしないでください(本当はクリックして欲しい)
- 興味本位の方はご遠慮ください(本当は興味本位でも良い)
このように、意図的に禁止することで購買意欲を煽るのですが、ユーザー側購入をすすめられているわけではありませんので、抵抗感が薄いです。
その結果、無意識のうちに購買意欲を煽られることになります。

顧客との商談で活用
顧客や仕入れ先など、取引先との商談でも活用ができます。カリギュラ効果を巧みに活用すると、相談を有利に進められるでしょう。具体例は以下のとおりです。
- 確定するまでお申込みはお控えください(本当は申し込みが欲しい)
- お断りすることも多いためご了承ください(本当は依頼して欲しい)
- 来月以降はお申込みいただけませんのでご注意ください(本当は申し込みが欲しい)
ただし、小手先のテクニックであることが相手にわかってしまうと逆効果です。自然な感じでさり気なく伝えると、禁止であることの真実味が増すでしょう。

販売戦略としての活用
販売戦略として活用されることも多々あります。さまざまな商品サービスのランディングページ(1枚ものの販売ページ)を見てみると、カリギュラ効果を狙ったコピーやフレーズを目にします。
- 悪用厳禁の心理手法!(本当は閲覧や購入をして欲しい)
- 先着3名様限定のため、今週はお買い上げいただけません!(本当は購入して欲しい)
- 会員様以外は閲覧禁止であるため、お読みいただけません!(本当は読んで欲しい)
このように、販売戦略として活用すると、上手に購買意欲を煽ることができます。
日常生活でのカリギュラ効果
カリギュラ効果は日常生活にも役立ちます。恋愛や子育てなどで上手に活用している人もいらっしゃいますし、自分自身をコントロールする際に活用している人もいらっしゃします。

恋愛での活用
求める成果を禁止すると、恋愛関係を優位に進められます。相手が乗り越えやすいレベルの禁止にしておくことがポイントです。それを踏まえて活用例をご覧ください。
- 今はなるべく恋愛したくない(本当は自分を好きになって欲しい)
- 最近忙しいから他の機会に誘って(本当は誘って欲しい)
- 俺に惚れるなよ(本当は惚れて欲しい)

恋愛において、誘いに応じる場合は、毎回誘われるがまま行くよりも、たまに誘いに応じる方が効果的です。
人間の脳は、嬉しい時にドーパミンというホルモンが分泌されますが、常に嬉しいよりも、時々嬉しい思いをする方がドーパミン効果が出やすいのです。
ギャンブル依存症も時々的中するからなってしまうものですので、時々オッケーを出す方が、相手を夢中にさせやすいのです。カリギュラ効果と合わせて活用しましょう。
子育てでの活用
なかなか言うことを聞かない子供に対して、カリギュラ効果をうまく活用している保護者がいらっしゃいます。しつけや勉強などで苦戦している場合にはぜひ参考にしてください。
- 勉強は1日3時間までにして、家事を手伝って(本当は勉強して欲しい)
- 一度ゲームを始めたら、クリアするまで中断禁止ね!何でもやり遂げて!(本当はゲームをやめて欲しい)
- お手伝いし過ぎだからストップ!外で遊んでおいで。(本当はお手伝いして欲しい)
禁止したい場合の対処法
逆に、やめたいことがあった場合、無理に止めようとするとカリギュラ効果によって、かえってやめられなくなります。
カリギュラ効果の特性を知って、上手に自分と向き合いましょう。ここでは、禁酒・禁煙やダイエットの例を紹介します。
禁酒や禁煙をしたい場合
禁酒や禁煙を決意しても、挫折する人は多いです。飲酒や喫煙を禁止することで、カリギュラ効果が働くことも、挫折要因の1つです。
この場合、無理にやめようとせず、自宅だけ禁止する、平日だけ禁止するなど、禁止レベルを下げて取り組むと良いでしょう。
ダイエットをしたい場合
ダイエットも同様に、厳しい禁止ではなく、許可する内容から決めると良いでしょう。晩御飯だけ炭水化物をやめ、ほかの食事は自由に食べるなど、許可に目を向けることでダイエットのご褒美となります。
自分へのご褒美を設定すると、取組へのモチベーションが上がり、成功しやすくなるでしょう。
カリギュラ効果のひと言アドバイス

カリギュラ効果の意味を理解すると、日常生活で活用しやすくなります。ビジネスシーンや恋愛、自分の戒めへの取組など、さまざまなケースで活用しましょう。
ただし、意味を知ったからといってすぐ実践できるものではありません。自分なりの使用パターンを、紙に書いたりスマホにメモするなどで作り込み、何度も練習してみましょう。
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まとめ
カリギュラ効果の意味は、禁止されたことほどしてしまいたくなる心理現象です。この意味を理解していれば、日常生活で役立ちます。
対人関係において自分を優位にできたり、自分をコントロールする上で活用できますので、ぜひ賢く使いこなしましょう。